猫の額








『紅』 #翼徳
同じテーマで全員分書いた掌編です。一人一ページという縛り付きでした。
一部は友人に書いてもらったため、ここにはありません。pixivに掲載しています。
2020/08/07




****************


「あれ、なんか今日の花かわいいな!」
「――翼徳殿、今日、も、の間違いでは?」
 怒気をはらんだ芙蓉姫にまあまあと声をかける。気づいてくれただけでも十分だ。
「あ、そうだよな。花、今日もかわいい!」
「あ、ありがとうございます……」
 改めて言われると照れ臭い。
「でも何でだろ。何か違うよな」
 ずいっと顔を覗き込まれて思わず赤面する。芙蓉姫からは「まあお熱いこと」と置いて行かれてしまった。
「う〜〜ん」
「あの、翼徳さん⋯⋯。実はですね」
「駄目、俺が当てるから言わないで」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい」
 ああ、すごく恥ずかしい。俯くわけにもいかず、早く見つけてくれますように、とただ祈った。

三国恋戦記 編集

Powered by てがろぐ Ver 4.1.0.